一杯のワインが、がんを防ぐ

以前、一杯のワインが腎臓疾患を防ぐというニュースをお伝えしましたが今回はがんの予防になるというニュースが入ってきました

1杯のワインが腎臓疾患を防ぐ - wineblogの日記

 

ブドウの皮や赤ワインに含まれているレスベラトロールという日本人の高岡道夫さんが発見したポリフェノールの一種が,がんに対して有効であるということが実験の結果判りました
もともとレスベラトロールは寿命延長作用の研究のなかで酵母、ハエ、魚類、マウスで成果が発表されており、種を超えた寿命延長作用として注目を集めている抗酸化物質です
今回このポリフェノールを使った実験でがんに対して大きな成果が得られたとコロラド大学がんセンターが発表しました

 

実験ではがん細胞を与えたマウスに赤ワインから発見されたこのレスベラトロールをマウスの細胞に移植したところ、腫瘍が縮小し、転移を防いだとのことです
もしこの赤ワインに含まれる物質を製薬できれば、副作用の強い抗がん物質や体の一部を切り取る手術に取って代わるだろうと期待されています

 

この夢のポリフェノールはウイスキーやヴォッカ、そして白ワインには効果が期待できるほど含まれていません
なのでがんを防ぎたいのであれば赤ワインを飲みましょう

 

ただし、飲み過ぎた場合は効果がないとのこと

 

がんセンターは節度のある飲み方が重要とコメントしています
また、赤ワインを飲むときはぜひピーナッツを肴にしましょう
ピーナッツにも似た効用があるそうです

 

 参考文献

yahoo.com

怒りの生産者

ワイン生産者がフランス各地で政治的活動を行っているようです
ブドウを育てることをそっちのけでなぜ抗議活動をすることになったのかといいますと、11月6日にフランス国会である決定がなされたからです

現在フランスでは物価の高騰や畑の価格の高騰が続いていて企業や労働者を悩ませています。さらに福祉社会を実現するために高い税金が様々なものに課されています。その中でフランスを代表する産業である農業を守る為に、畑のオーナーに対し収穫の時にだけ採用する臨時雇いは免税扱いとなる法律を2001年に施行しました。しかしながら11月6日に長い審議を経てこの税金免除の規定を廃止することとなったのです

シャンパーニュではこの知らせを聞いて先週、1500の生産者が抗議活動を行いました。シャンパーニュには12万人も臨時雇用労働者がいるそうです。この一人一人に対して税金がかかるとなると金額がかなり大きくなりそうです

さらに悪いことに、昨年フランスの最低賃金が大きく引き上げられたそうで、生産者は苦しい中でさらにお金をやりくりしないといけないこととなりました

今回の免税廃止に伴うコストアップがワインの販売価格にどれだけ上乗せされるのかが、我々消費者の注目となるでしょう

余談ですが、フランスはEUの他国よりも最低賃金が高く設定されていて、ブドウの収穫の時給は例えばドイツでは7ユーロ(約1021円)ですがフランスでは11,26ユーロ(約1643円)となるそうです。また、フランスでは同一労働同一賃金の原則があるので同じ畑でブドウを摘む人はみな同じ時給となるようです

 

シャンパーニュ メゾン訪問完全ガイド (Winart Books)

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参考文献
decanter.com

ライクラフトの閉鎖

オーストラリアで160年以上続いたワイナリーが閉鎖されることが発表されました

閉鎖されるのは1850年に南オーストラリア州マクラーレンヴェールに作られた醸造所で、コンクリート開放槽など当時のものを今でも上手く使ってワインを作っていることで知られているローズマウントのライクラフト醸造所(Ryecroft)です


ローズマウントを代表するワイナリーでしたが度重なる赤字経営のため、これ以上経営を続けられないと所有者であるトレジャリー・ワイン・エステート社が判断した形だ

トレジャリーはビジネスの合理化をはかってきたが昨年は結局約1億オーストラリアドルの損失を計上している

 

2015年の収穫までにはワイナリーの設備と33人のうち会社に残る事を希望する従業員が他のグループ内のワイナリーへ移されることとなる
醸造所はなくなるが、今まで通りマクラーレンヴェールで収穫されたブドウを使って別の場所でローズマウント ライクラフトを作る予定とのこと

 

ローズマウントはトレジャリー・ワイン・エステート社が保有する83ブランドの中の1つである。ローズマウントの他にもペンフォールズ、ベリンジャーやウルフブラスなど有名ブランドをもつオーストラリアでトップのワイン会社です

 

オーストラリアでは少数のワイン会社は市場を独占していて、上位15社で全生産量の74%を占めています

そのためワイナリーの買収と売却は頻繁にあったりもし、市場から会社の経営状態を厳しく見られるため今回のような閉鎖という形になったのだと思われます

 

 参考文献

decanter.com

smh.com

tweglobal.com

オーストリアゼクトの三つの層

10月22日はオーストリアゼクトデー

らしいです。

 

なんでも、スパークリングワイン好きなオーストリア人がこの日を境に年末までに1200万本を飲み干すそうです。この1200万本って数字、オーストリアで消費されるスパークリングワインの45%もあるそうです
感謝祭、クリスマスや年越しとイベント盛り沢山ですがどれだけこの二ヶ月で飲まれるか、想像するとすごいです

 

さてこのゼクトデーですが、その中でオーストリアでは新しい試みが導入することが発表されました

 

それは
three tier quality pyramid of Austrian sekt
オーストリアゼクトの品質三階層
勝手に日本語訳しました。オーストリアワインマーケティング協会のホームページを参考にしていますが英語のページは詳しく書かれているのですがまだ日本語のページはこのニュースを取り扱っていないのです。

 

この三階層ですがレベル1、レベル2、レベル3と呼ばれています

 

レベル1
オーストリア国内で収穫されたブドウを原料としてオーストリア国内で醸造されたワインであること
瓶詰めから滓引きまで9ヶ月


レベル2      
瓶内二次発酵を経ていること
単一のブドウ栽培地方のブドウを原料としていること
瓶詰めから滓引きまで18ヶ月


レベル3

瓶内二次発酵を経ていること
単一のブドウ栽培地区のブドウを原料として発酵されていること
瓶詰めから滓引きまで30ヶ月
収穫から3年以上経っていること


とのことです

9ヶ月というとカヴァ
18ヶ月というとフランチャコルタ
3年というとミレジメ

と同じ数字ですので、この階層がどれだけ世界で戦えるかを意識しているかがわかります
現在約250万本が輸出されていますがこれからもっと伸びることが予想されています

オーストリアはEUのワイン法で運営されていますが2002年ヴィンテージから原産地呼称を積極的に推進して、スティルワインの品質向上と知名度のアップに成功しました

今回の三つの区分けは消費者にクリアな指標と品質のレベルを判りやすく伝えるでしょう

現在はオーストリアスパークリングワイン委員会とオーストリアワインマーケティング協会の元で作られいますが2015年春までにはオーストリアワイン法に組み込まれることが予想されています

 

 

 

 

 

参考文献
austrianwine.com
decanter.com
日本ソムリエ協会教本

ヒョウからブドウを守れるか

ヒョウからブドウを守ることは違法か
こんな議論が今ブルゴーニュで大論争を巻き起こしている

つい先日都内でもヒョウがニュースになっていたがフランスでもヒョウが話題だ
ヒョウとは雹のこと
気温が上がり始めると積乱雲とともに生成されて、重みに耐えられなくなると地上に降ってくるあれだ

小さいあられ程度ならまだしも、5mmを超える石みたいなものが時速100キロのスピートで落ちてくるのだ
もしブドウの木に落ちてきたら、葉や実に大きなダメージを与えることになる
そうなる前にブドウの木にネットを張って守ろうとするのはごく普通のことだと思われる

だが、問題はあった

フランスの AOCの規定に全く書かれていないのである
そのためブドウ農家もネットを張っていいものか、またフランス当局INAOも取り締まってよいものか悩んでいるのだ
書かれていないので認められるとも言えるし、書かれていないので認められないとも言える

そんな中、一部のブドウ農家はすでにネットを張り始めている
誰もが何ヶ月もかけて育てたブドウが一回のヒョウで全て無駄に帰すことが分かっていて、なんの対策も取らずにはいられないだろう
実際ニューワールドではヒョウに対するネットはあって当たり前だ
ブドウをつくってワインにして売るのが彼らの商売だ
守るのは当たり前である

ではフランスはなぜ守れない可能性があるのか

それは彼らは代々受け継いだその土地のワインを作り、守ることが信条だからである
そう、「テロワール」だ
ネットを設置する事によって太陽の当たり方や風の通り方が変わってしまうのである
ネットによって本来のその畑の味わいと変わることは絶対に避けたいのだ

現在のところ、ネットの有無によって味が変わるか判っていない
まだまだ議論は続きそうである

 

 

参考文献

wine-searcher

ユネスコ世界遺産に登録!

第38回世界遺産委員会が先月6月カタールのドーハで開催されました
日本からは富岡製糸場が推薦され登録された為、大きくニュースになりました
今回のユネスコ世界遺産には26件が登録されたのですが、そのうちの一つがなんとイタリアのワインと関連があるのです


イタリアの北部のピエモンテ州でランゲ・ロエロやモンフェッラートのワインを作るブドウ栽培に関する景観が文化的遺産であると登録されたのです
前回に登録の名前が上がった時は延期扱いを受けていたので今回の正式な登録にピエモンテの人たちはさぞ喜んでいるでしょう

世界遺産に登録されると広くワイン好き以外にも地名を覚えてもらえるのでますますピエモンテのワインが広がっていくことが予想されます
また、過去のユネスコ登録された地域はもともと人気観光地ですが、それでも平均30%も観光客数が増えるそうです
観光客増加によるゴミは排ガスなどの環境の悪化はあるでしょうが、それもユネスコの名前で強い規制をかけて保護できるでしょう。それよりもブドウ園を訪れる人が増えることによるワイナリーの売上げアップや流通するワインの売上げアップで最新の醸造設備に投資ができるのでより一層の品質向上が期待できます


これはますますピエモンテから目が離せませんね


参考文献
winespectar.com
unesco.org/news/

 

 

シンデレラワインの危機

カリフォルニアで新しいワイン畑を開くことが禁止になるかもしれない

カリフォルニアで4400億円の経済効果を持つワイン産業にとっては大きな痛手になりそうだ

 

今回開墾が禁止となる予定地はサウスコーストのマリブAVAで、年間15000ケースほどが出荷されるエリアです
ナパやソノマから離れたあまり知られていない場所ですが、カリフォルニアのワイン関係者の間ではこの動きが活発になるとほかのAVAにも広がりかねないとして反発しています

 

開墾の禁止を提案したのは1994年から環境問題のスーパーヴァイザーとして任命されているゼヴ・ヤロスラヴスキー氏です
彼の考えはワイン畑の農薬は河川、ビーチ、サンタモニカ湾の水質に深刻な影響を与えているのでこれ以上ワイン畑を増やしてはならないということです

 

これに対してワイン関係者はワイン畑は他の作物より水を使うことが少なく、肥料も少ないので環境に与える影響は小さいと反発しています

 

今回の開墾禁止案は7月にカリフォルニア・コースタル・コミッションで採決が取られ、もし法案が通ればL.A.のスーパ-ヴァイザー委員会で最終承認されることになります

 

 参考文献

wine-searcher.com

日本ソムリエ協会教本

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